訪れ

サイトを訪れる人は、大別して「利用者」「弱い視聴者」「読者」「通行人」がある。「利用者」はポータル・サイト/検索サイトからどこかへ行こうとする人、通販のサイトなどを訪れる人。「弱い視聴者」は、定期的ではないがブックマークや雑誌等にのっていたサイトなどをぶらりと訪れる人。散歩に近い。「読者」はブログなど更新されると読みに訪れる人。「通行人」はたまたまリンクをたどりながら訪れてしまった人。このなかで関係が強いのはブログ。実世界でも同じ関係を持つことが多い。

さて、読書と読者はいつ誕生したのか。

テクストはそれを読む者がいなければ意味をなさない。テクストは読み手とともに変化してゆく。テクストは、自分のあずかりしらぬ知覚のコードにしたがって秩序づけられるのである。テクストは読み手という外部との関係を結んではじめてテクストとなるのだ。二種類の期待が組み合わされてできあがる共犯と策略のゲームによってはじめてテクストとなるのだ。つまりひとつは読みうる空間(字義性/リテラリテ)が組織する期待であり、もうひとつは、作品の実現化に必要な歩み(読むこと)が組織する期待である。

(ミシェル・ド・セルトー)

テクストを起点として読むつながりが自己組織化される。ところがインターネットの場合はこちら側で読むだけでなく、書きこんだり(ライティング・スペース)、つながりを確認したりすることができる。お互いに彫りこむような関係は、読むことと書くことが表裏一体となった現実に近い感覚を生む。近代以後、ながらく読むことと書くことがわけられてきたが、ネットのなかではそんな分け隔てを軽く突破している。