構造と階層

およそわれわれが「ネットワーク」と感じるものには「構造」がある。


ただ繋いであるだけではネットワークにはならない。繋がりの総体としてのネットワークがひとつの系として振る舞いを持つとき、はじめてネットワークを感じる。「振る舞い」を持つためにはまず「フィードバックがはたらくこと」「他のノードをまとめて見られること」が重要になる。インデックスでチェックして信号を送る、そんな機能が必要になる。


すると少なくとも複数の階層がなければ実現できない。われわれがよくネットワークのグラフを描いて「これでうまく動きそうだ」と感じるのは、われわれが図を見ているからである。つまりわれわれ自身がひとつ上の階層に上がり、ネットワークの図を見下ろしているからである。


これはたいそう重要な問題を孕んでいる。ネットワークは平面ではないということ。構造と階層は不可分であるということ。これがなかなか気づかれない。紙で考えることに慣らされてしまっているからかも知れない。


われわれが普段住まう空間も、インターネットのなかの本当の空間も、実はこんな構造に満ちている。システムが構造を意識して製作されていようがなかろうが、人がさしはさまる形でそんな「生きている空間」の構造が実現している。


これからは、デザインもエンジニアリングも、より人を勘定にいれるべきだろう。