林檎の唄

一度告白しておこうと思う。椎名林檎を初めて聴いたとき、背中を打たれたような衝撃だった。近松門左衛門を眼の前にしている気がした。飛びぬけた日本の伝統的感性を持っている。まぎれもない、あの日本である。林檎の言葉は日本にかかる三日月のように鋭い。だが、音はとても幼い。ひらひらの幼子。こぼれたミルク。

YMOが出てきたとき、日本を思い出せそうな気がした。だが、YMOはあまりに言葉が貧弱である。それがいつももどかしかった。

だから、YMO東京事変になって欲しい。すると近松の世界がそっくり登場するはずだ。そしてはじめて美空ひばりが日本の歌謡として唄えるようになる。美空ひばりはあまりにも早すぎた。

オープニングの唄は是非与謝野晶子にして欲しい。もうそこまで日本が来ている。