わたしとあなたのあいだ

芸には概ねふたつある。ひとつはあなたに届けるための芸、もうひとつはわたしを届けるための芸。前者は自分を最大に削り、後者は自分を最大に発揮する。メディアに結びつく芸は前者に傾きがち。後者はなによりも自分が気持ち良くなければならない。その気持ち良さを自分でできる範囲でお裾分けする。

近代になって前者のプロは社会に溢れたけれど、本当の文化の担い手の後者のプロが激減してしまった。もちろん、ぼくは後者の無名の芸が好き。