玩具都市

玩具が都市化している。ロボットやたまごっちなど機械や電子を利用するものはもちろんのこと、人生ゲームから脳力刺激玩具まで。これらはカイヨワやホイジンガが見つめていた「遊び」にはあたらない。玩具よりはテレビに近い。

これらの変化は、おそらくは1974年からの十年間ほどで準備されている。

1974年。セブンイレブン第一号店、スプーン曲げ(ユリ・ゲラー)、『アウトバーン』(クラフト・ワーク)、8080(インテル)。

1975年。フレーム理論(ミンスキー)、モンティ・パイソン登場、竹の子族出現、カシオ電卓発売。

1976年。ブロックくずし(アタリ社)、宅急便登場、『記号論』(ウンベルト・エーコ)、Apple-Ⅱ発売、TK-80発売、ロッキード事件、火星軟着陸。

1977年。超LSI開発、アスキー社設立、『スターウォーズ』(ルーカス)、パンクロック登場、デジタル・シーケンサーMC8発売、知識工学(ファイゲンバウム)。

1978年。YMO結成、スペース・インベーダーの登場、『サタデー・ナイト・フィーバー』(トラボルタ)、日本語ワープロJW-10開発(森健一)。

1979年。ウォークマン発売、スリーマイル島原発事故、『ガイア』(ラブロック)、『エイリアン』(リドリー・スコット)、光ファイバー実験成功、8086(インテル)。

1980年。ルービック・キューブ発売、CNN開局、『第三の波』(アルビン・トフラー)、イエスの方舟事件、CD登場、ジョン・レノン射殺。

1981年。MTV開局、スペースシャトル一号機コロンビア打ち上げ、RPGブーム。

1982年。ATT分割、『ひょうきん族』放映、『笑っていいとも』放映開始、IBMスパイ事件。

1983年。ファミコン発売、『スリラー』(マイケル・ジャクソン)、エイズ・ウイルス発見、デジタル・シンセサイザーDX-7発売、Lotus 1-2-3発売、東京ディズニーランド開園。

およそ遊びが遊びらしくなくなったときから、生活空間である都市が脳のための玩具としてはたらくようになってきている。これがそのまま少子高齢化社会でそのままはたらくとは思えない。「癒し」「五感」「温泉」「スローライフ」に共通しているのは「非都市」である。都市的なるものから身を潜める場所を求める。これらはこれからの変化の予兆である。

いま、こどもの遊びに注目すると、これからの都市の姿が見えてくる。