世界読書術

ライプニッツはとびきり澄んだアート感覚を持っていたろう。モナドもアルス・コンビナトリアもそんな世界を読書するための構想、読書術であった。

ライプニッツの巧妙はまずモナドを準備するところにある。材料や要素を並べ立てて品を出すのではなく、いきなり品を並べてしまう。そしてひとたびモナドの地平から世界を眺めれば、モナド以外は見えなくなる。モノやコトを構成する最小単位はいまやアトムからスーパーストリングに移りつつあるが、眼の前に現れ、認識しているこの世界はおよそアトムではできていない。この洞窟の中に瑞々しくひろがっている世界は畢竟モナドで出来ている。ここが肝心なのだ。モナドを準備するところから旅をはじめる。もちろんモナド以前はない。

ライプニッツは眼前の世界の瑞々しさを謳い、その予定調和を感じた。予定調和は運命という出来事ではなく、モナドが戯れる場である。アートはこんな事情を思いださせてくれる。

モナドが歌っている。