モーツァルト覚書

工作舎キャビン


モーツァルトを聴くと落ち着くのは、感情の起伏がゆるやかであったり、主和音の使い方だけではなく、フレーズのつなぎ方に秘密がある。モーツァルトはフレーズからフレーズに展開するときにいきなり飛び移らず、間のフレーズをはさんで準備する。するとすべてがひと連なりのフレーズとなって流れてくる。

ベートーベンの場合はフレーズからフレーズに移るとき、休符を使う。そこからスイッチがぱっと切り替わるようなドラマティックな緊張が生まれる。まだ統計をとったわけではないが、ベートーベンとモーツァルトの休符の出現頻度にはかなり開きがあるのではないか。

モーツァルトの音楽は、自然の音がそのまま心でなめされて出現する鳥のさえずりに近い。


サウンドスケープのなかの音には目的をもった音とある事の結果として残されてしまう音がある。残されてしまう音も間を埋めていくことで耳障りが小さくなるだろう。山水にはそんな工夫がある。