どっどどどどうど どどうど どどう

ご存知、風の又三郎の登場である。ぼくが又三郎の映画を撮るとしたら、この登場はぜひ縄文の太鼓にしたい。風そのものに綺麗な音のイメージがあるせいか、このシーンでありがちなのは正弦波を重ねたようなシンセサイザーの音である。綺麗なマントを羽織った又三郎が颯爽と天から降ってきそうだが、ぼくとしてはもっと土の香りが欲しい。木の葉のみならず、土をも巻き上げる旋風であって欲しい。だから太鼓の音が欲しい。宮沢賢治の言葉はそれほどまでに深く、澄みきっている。


 どっどどどどうど どどうど どどう、
 ああまいざくろも吹きとばせ
 すっぱいざくろもふきとばせ
 どっどどどどうど どどうど どどう