らしさ

このところ立て続けに「日本らしさ」が会合での話題にのぼる。技術大国であるかのように見える日本も、どこか技術に「らしさ」が足りない不安にかられている。縄文の翡翠から出雲大社組紐から金箔、機巧から変化朝顔、折り紙からアロハ・シャツ、漆から米糠まで。およそ「日本らしさ」が渦巻いていた現場から「いま」を捉えなおす。どうも近代の技術は、先進的でありながらどこか日本に回帰していた。これが日本の弱さだとさんざん叩かれもしたが、もっと勇気をもって欲しい。近代など所詮地上に被せた一枚の薄板にすぎない。日本にいたずらに億劫になることもなく、豊穣な心の響きにはじめたいものだ。