爆発的につき

気体を圧縮すると、ふとしたはずみで分子の向きが揃い爆発的状況をひきおこす。社会という器に入れられた情報にも同じことがある。JAL、マイケルジャクソン、列車事故若貴、カード情報流出、十五歳。どの放送局でも同時に同じニュースを話し出す。いまどのチャンネルを見ているのか、迷子になってしまうこともある。

同期現象は結ばれた構造のなかではありふれた事象ではあるのだが、ここまで刹那的な同期が押し寄せると少し不安になる。蛍の発光が同期するのは結構なのだが、同期から外れることができなくなって輻輳的に自身が消失してしまうまで頂点に向かっていってしまうようだ。ネズミが思わず海に飛びこんでしまうのも、携帯電話がつながらなくなってしまうのもみな同期の頂点の現象。ジャーナリズムの歩き方も考えたいものだ。

同期に向かう覚悟もあれば、同期から外れる覚悟もある。このふたつの覚悟のあいだに自由がある。