表現の不足

近頃はテレビや映画で表現されてしまった「イメージ」が一日中あふれているせいか、表現が不足している。以前、テレビである山村の小学校が創立以来の生徒の絵をすべて体育館にズラッと並べていた。同じ歳で描いた絵が、あきらかに幼稚になっていっている。これはネオテニーの結果などではなく、表現する力そのものが希薄化していっている。

大学生に準備なしにその場で「はじめて読んだ本」などを紙一枚を書いてもらうと、まるで「小学校の作文」のような文章であふれかえってしまう。表現後のイメージばかりを消費していて、自分で関わったり自分で組み立てる機会がしぼんでいる。このような出来事がおそらくは脳のなかにまで続いている。