胸騒ぎ

昨日はずっと胸騒ぎ。寝付けなかったので恩田陸の『蒲公英草紙』を読む。植物から洩れてくる光のような風が全編に散りばめられる。言葉より映像が立っている。読み終わるというよりはこころのスクリーンのスイッチを切る感じ。

今は世界という雑踏の中で、日本はおのれの声を聞こうとしているんだが、どうやら幽霊のようなこだまばかりが返ってきて焦っているようだ。

自分の思い出は、家にカラーテレビがやってきた時を境にがらりと変わってしまっている。それまでは生活のなかでテレビなど意識しなかった。ところがその日から映像が茶の間で語りかけてくるようになった。そう映像をこころにしまうようになってきた。それまでは踊り狂う言葉を突っこんでいたのだが、どこかであらかじめ整合性をとった映像に仕立ててからしまいこむようになってきた。

さて、そろそろ言葉に向かわなくっちゃ。胸騒ぎもおさまらない。