2004-05-23から1日間の記事一覧

風の意味

むかしから不思議に思うことがある。たいがいの赤ん坊が息を吹き掛けると喜ぶのはなぜか。おそらくは、バラバラの感覚が同時にはたらくスイッチが入り、「風」からもっとも原初的な「意味作用」がたちのぼってくる気がしてならない。はじめに人が覚える「意…

風の地形図

高層の風が空中に描き出した関東の地形図を裏から見上げるのは不思議な見物であった。 (寺田寅彦『春六題』より)

風学

そろそろ風に遊びたいと思っている。風には科学も文化も遊びもひととおり揃っている。「まとめて遊んでしまえ」が風学のはじまりになる。ねえ、そろそろ遊びまセンカ?

風狂

風は時に人の軸さえ傾ける。風のすさぶカオスのなかで「狂」にはじまる新しい構造をもたらす。風狂には次の舞台への趣がいつもこめられている。坂口安吾ならさしずめ風博士だろう。「風祭」など風のつく苗字も物語のなかでは定番である。五七五のわずか十七…

風土

風土という言葉で空間に迫れるほど、人と風は切り離せない。和辻哲郎の風土も、鈴木秀夫の風土もオギュスタン・ベルクの風土もこの「風の感覚」にはじまる。柳田国男の『風位考』にはじまり関口武の『風の辞典』に連なる風収集によれば、日本にはおよそ2145…

風覚

風はおよそ感覚そのものである。感覚が姿をもってめぐっていると言ってもよい。視覚や聴覚や触覚というぐあいにバラバラに生起するのではなく、感覚の一切が風のなかにたたみこまれている。ボブ・ディランは「すべての答えは風のなかにある」と歌った。妙に…

風格

風をまず皮膚で感じる。これは身体の外を吹く風。冷たかったり、熱かったり、吹き飛ばされそうなチカラだったり、獣の歯のように砂が刺したり、ソヨソヨと涼しさを運んだり、遠くの音を運んだり、およそ人と自然のかかわりのはじめの一歩が刻まれている。な…